多くの人が勘違いしている「融資中心思考」
SNSで融資条件の話をすると、必ず「どうやって引いたんですか」「裏技を教えてください」という反応が来る。その時点で、質問している人は勘違いをしている。
多くの初心者が思い込んでいるのは、不動産投資は「融資をいかに引くかの勝負」だということ。もちろん融資は大事だ。しかし、その前提となるのは、自分自身にどれだけの自己資金があるか、ここなのだ。
銀行が自己資金を重視する理由
銀行は、自己資金がしっかりある人を信用する。なぜなら、自己資金がある人は、節約して、コツコツ貯めてきた人だからだ。お金を管理できる人間にしか、銀行はお金を貸したくない。当たり前の話なのに、多くの人がこの本質を見落としている。
逆に言えば、自己資金を貯められない人は、そもそも不動産投資のスタートラインに立てない。この現実を、まず直視する必要がある。
不動産投資で一番重要な能力は、節約して貯める力
不動産投資を成功させる上で、一番重要な能力は何か。
それは、いい物件を見つける目でも、銀行と交渉する力でも、税金の知識でもない。節約して、自己資金を貯める力。これが全ての土台だ。
融資が付くのは、年収1000万円で金融資産ゼロの人ではなく、年収600万円でも金融資産2000万円を作った人のほうだ。
考えてみてほしい。年収1000万円あっても、全部使ってしまって金融資産がゼロの人。この人は銀行から見たら、信用できない人だ。収入があっても、それを管理できていないと判断される。
逆に、年収600万円でも、毎年200万円貯めて、10年で2000万円の金融資産を作った人。この人は、銀行から見たら信用できる人。両者を比べたとき、融資が付くのは後者のほうだ。
自己資金の具体的な目安
自己資金がまだ十分にないという人が、まずやるべきは物件探しではない。生活を見直して、自己資金を貯めること。これが最優先だ。
最初の1棟を買うための目安
最低でも物件価格の10〜20%の自己資金+諸費用+生活防衛資金。これは欲しい。
| 物件価格 | 自己資金の目安 | 諸費用の目安 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 500〜700万円 | 200〜300万円 |
| 5,000万円 | 800〜1,000万円 | 350〜450万円 |
| 1億円 | 1,500〜2,000万円 | 700〜900万円 |
これが用意できない人は、物件を買うより先に、貯める期間に集中するべきだ。焦って買って、数年後に後悔する投資家を、私は何人も見てきた。
銀行階段を一段ずつ登る
自己資金が一定量たまってきたら、次のステップ。よく聞かれるのが「どの銀行に行けばいいですか」という質問だ。
結論を言うと、最初から大手地銀や大手銀行に行く必要はない。というか、そもそも相手にしてもらえない。
信金 → 地銀 → 大手地銀の階段
自分の属性がまだ育っていない段階なら、最初に付き合うべきは信用金庫だ。信金は地域密着で、融資判断が柔軟な面がある。属性が完璧じゃなくても、物件が地元にあり、事業として成立していれば、融資を検討してくれる可能性がある。
私自身も、最初は信用金庫との取引から始めた。そこで実績を積み、返済を続け、金融資産を貯めていった。そうしているうちに、徐々に地方銀行との取引に広げることができるようになった。そしてさらに規模を拡大する中で、今は大手地銀から金利1.6%・9割融資・30年という条件を引けるようになった。
いきなり大手地銀に行っても、実績のない人は相手にされない。まず信用金庫から始めて、そこで実績を作ること。これが現実的な戦略だ。
ノンバンク系の位置づけ
もうひとつ、よくある質問に答えておく。「ノンバンク系の銀行はどうですか」。
たしかに、ノンバンク系にはサラリーマン属性があれば、比較的融資を引きやすい銀行がある。不動産投資をやっている人なら、いくつか思い浮かぶはずだ。
長所と短所
これらは1棟目、2棟目を買うには便利だ。属性をそのまま使えば、融資が付きやすい。
もし本気で拡大していきたい、5棟・10棟と積み上げて資産を作りたいと考えているなら、やはり信用金庫・地方銀行・大手地銀という、事業性融資の本流ルートを通るべきだ。最初は時間がかかるが、将来の拡大余力が全く違う。
ノンバンク系は、入口としてはアリだが、出口を見据えて使うのが鉄則。ここを勘違いすると、早い段階で詰まる。
10年かけて学んだこと
私自身、10年かけてこの階段を登ってきた。一朝一夕ではできない。でも、一歩ずつ進めば、必ず景色は変わる。融資の条件は、交渉で決まるものではなく、自分自身の属性と実績で決まる。このシンプルな事実を受け入れることが、不動産投資の第一歩だ。